大阪の中津に位置する築40年の60平米程度の木造2階建アパートの改修計画である。建築の多くは周辺環境、生活環境、用途、構造、法規などに誠実に計画されている。そしてこの諸条件は日々刻々と変化している。しかしながら建築はその特性から時代性に起因する様々な変化への対応が苦手である。或いは鈍く反応する。本作はその変化に迅速に、容易に対応できる改修の提案である。計画では床を非構造とし、パネル化することで断面計画を解放し、生活環境やプログラムの変化に施主自ら対応できる。構造計画では床と壁を分断することで構造補強や法規変更へも容易に編集可能な構造としている。更新可能な構えをとることで、建築にサスティナビリティが生まれ、長い時間軸で建築が愛されるのではないかと考えた。本作を通じて、スクラップアンドビルドされている建築の価値感が再考されることを期待している。