神戸市北区にある老夫婦のための住宅である。建物の老朽化や子供達がそれぞれ独立し住宅が広すぎること、水周りの断熱性能の悪化などが要因で建替えることになった。敷地を注意深く観察すると、すでに手入れのいきとどいた素敵な庭が存在していたためこの庭を出来るだけ傷めずに建物を配置することにした。また建物を敷地の端に寄せず、少し配置をずらすことで多様な外部が生まれ、単純な表と裏ができないように意識している。建物全体では老夫婦にとって適度な広さを熟考し、基本的に平屋の住宅とした。どの場所にいてもクライアントのお気に入りの庭を眺めることができる計画となっている。土間を介して庭と接続し、穏やかな老後をゆっくりと過ごしてもらえることを想像しながら設計を行った。